乗馬スタイル(ウエスタン編)



 続きは、ウエスタン編です。ウエスタン乗馬の特徴をいくつか書いてみました。


馬の頭に乗る?
 ブリティッシュが強制的でも馬自体の動きの正確性を求めるのに対して、ウエスタンは動きは大雑把でも馬自体の持っている能力を引き出すために自発的に動くことを求めます。
 ウエスタンは馬を動かしているのではなく、馬の頭を動かしているとも言えるのです。
人間の指示はあくまできっかけであり、あとは馬が自ら動くため、馬の動き(反応)を速くできるのです。

馬にとって優しい?
 ブリティッシュとウエスタンどちらが馬にとって優しい乗り方か?と質問されることがあるのですが、馬に自由度を与える点ではウエスタンかなぁ。
 ルーズレインは、外乗では特に優しい選択だと思います。予期せぬ急な坂や凸凹、倒れた木、道の裂け目等バランスを崩すことなく乗りこなせるライダーは殆どいません。
ウエスタンでは、ルーズレインのため少々ゆとりがあり、人間の動きが遅れて上体がそり、ハミに強くあたってしまうことも少なくなります。
 一方、ブリティッシュでは手綱を張っているために手や騎座を一定の状態に保つことは上級者でも不可能に近く、強くハミにあたってしまい、馬が急に止る。人間が付いていけず前につんのめる、落ちかけるので、足や膝で馬体を締め付けてしまう。すると急に走り出す。何度か繰り返すと大人しい馬でもキレて、暴走なんてことも。これを私はタイトレイン悪循環と呼んでいます。

押し手綱の誤解
 ウエスタンではよく押し手綱と言われていますが、正確に言うと馬の首に手綱が触れることで馬がその方向からのプレッシャーを感じます。
 一方、反対側はフリーですから自然に首は振れた方向と反対側に曲がります。決して押しているのではないのですよ!触れるだけ。

馬をつれてくるのにリードを引いていない?
 ウエスタン調教された馬は、馬をリードロープで引いているのではなく、馬が人間の後をついてきているのです。
 だから、当然リードは引いていません。(ルーズです)
ルーズにしていても人間の先を行ったりしません。  馬は人間を噛んだり、蹴ったりするものと思っていませんか?
 ウエスタンでは、そのようなことはありません。(格好だけウエスタンといったクラブは別ですが)

ウエスタンって急な動きをさせるのでしょう?怖くないの?
 急な動きを競う競技が多いことも事実です。(レイニング、ローピング、バレルレーシング等)
プレジャーという競技もあって、どちらかと言えば、スローな競技もあります。
基本は安心して乗れるスローロープ(遅い駈足)ですから、ブリティッシュと同じです。
 競技によって、襲歩まで出しますが、シートバックしてスローと言えば速度が落ちます。

ブリティッシュで乗馬を習ったのですがウエスタン調教馬でも乗れるのですか?
 慣れれば、乗れます。ブリティッシュで乗馬をしてきたのですから・・・
乗馬スタイルで違いを書きましたが、基本的に同じです。
  経験から言うと初級クラスの方は、ルーズレインが一番抵抗があるみたいです。走って行かれるのではないかと・・・

 大丈夫ですよ。勝手には走りませんから。ブリティッシュ経験の方には、最初はジャストレインで持って、慣れてくれば少しずつルーズレインにするようにアドバイスしています。  上級者の方は騎座が安定しているため、すぐに慣れるみたいです。

初級者の方は、手綱を引いて上半身のバランスをとる方が多いので、まず騎座の安定から始めます。
上達してくれば、ルーズレインはもちろんのこと、手綱を持たずにコントロール出来るようになります。(止まる、曲がる)

拍車は付けるのですか?
 騎座が安定してくれば、付けられます。
ブリティッシュでも同じように、馬術を行うためには拍車は必要です。

 よく、ウエスタンの拍車は先が尖っていて、馬が怪我をしないのか?質問を受けます。
ウエスタンの拍車は先が尖っているようですが、先端は丸くなっており、先がコロコロ回転するようになっています。
その構造で思いっきり蹴ったとしても力が逃げてしまいまから、むしろブリティッシュの拍車よりも馬にとって優しいのです。

 ウエスタンの拍車の使い方は、触れる、押す、転がす(ブリティッシュの拍車だと擦ることになります。)、蹴るのパターンに強さと角度、位置を組み合わせます。
   私の経験では、拍車を付けないで上達した方を見たことがありません。何段階も使い分けることができるようになると同時に馬とのコミュニケーションも自然と身に付くのです。

拍車を使うと言うことを聞くのですか?
 最初は言うことは聞くと思いますが、馬とのコミュニケーションをとらなければ言うことを聞かなくなります。
拍車を付ければ、上級者が乗ったときのイメージ(サボれば強く使われ、まじめにやっていれば使われない)を馬が感じるのか、殆どの騎乗者は自分が上手くなったように錯覚するぐらいよく動きます。

 人間からみると踵で使う力を最小限にしてくれ、必要に応じて弱から強へと何段階も差を付けることができます。
馬からみると軽く使うとこそばゆい感覚、強く使うとイタイ感覚と言えます。

上級者になれば出来るようになるのですが、拍車の先が触れるか触れない微妙な位置まで近づけ、実際には拍車を使わないでおくと効果的な場合があります。
 このような便利な道具ですが、初心者が使い方を乱暴にすると当然馬はプレッシャーから逃れようと走り、あるいは暴れだします。
拍車を付けて、それに頼ってしまい指示ごとに拍車を使うと馬も刺激になれ、もっともっと強く力を使わなければならなくなって行きます。
そして、最終的には、その場から一歩も動かなくなってしまいます。

拍車を使う場合も馬とのコミュニケーションが大切なのです。