ウエスタン(W)とブリティシュ(B)の違い
手綱の持ち方
W:両手で持つのが基本、初心者、馬の調教、通常の騎乗練習は両手で行います。
(例外はカウボーイが牛を捕まえるため、片方の手にロープを持っているとき、クラスが上の競技を行う場合)
*観光乗馬では片手で持たすことが多い
手綱をピンと張らないルーズレインを使うが、最初は比較的タイトに持ち、馬とコンタクトをとれるようになると緩めていく。
ルーズレインのため、手は動かさない。
B:両手で持つことが基本。片手で操作することはない。
常に手綱はピンと張り、コンタクトを保つ。(コンタクトを一定に保つため馬の首の動きに応じて手を動かす)
乗り方
W:姿勢は、競技や乗る目的によって様々。ブリティシュの障害のように2ポイント乗りはない。基本は上半身を真っすぐに保ち、足の位置は少し前気味。(鞍が違うため)
常歩、速歩、駈歩の発進は、ポジション(騎座)、舌鼓で行うが伝わらない場合は脚で圧迫、軽打を行う。
止め方は、踵を一気に下げる、足を前に出す、「ウォー」と低い声を出すのいずれかで止める。手綱は基本的に使わない。(馬が驚いた場合は手綱も使用する)基本はジャストストップ。
B:姿勢は上半身は真っすぐ下半身は足を少し曲げ踵から頭を一直線に保つのが基本。
競技によっては前傾、鐙の長さが変わることがある。
常歩、速歩、駈歩の発進はウエスタンと変わらないが、鞭を使う施設もある。
止め方は、競技によって違うが基本は手綱を引くことにより止めていく。緩やかに停止。
装備
W:競技以外は自由、服装にはこだわらない。ただし、鞭は持たない。
手綱は2種類。(繋がったものは片手用、2つに分かれているもの両手片手共用)
拍車は基本は先が回転する輪拍。ギザギザの大小、間隔、尖り具合で馬の伝わり方が違うので初級者は選択が難しい。基本は蹴るのではなく、馬の腹部をを転がして使用する。
防具は無く、ウエスタンハットやキャップ。最近ではヘルメットを使用することも多くなった。
チャップスはフルチャップスのみで競技で使用することが決められていることが多い。通用の練習では使用しない。短いチャップスは、鞍にフェンダー(鐙皮が平たいので)があるため不要です。
キュロットはなく、ジーンズが競技での正装となる。(乗馬専用に開発されたジーンズがある)
ブーツは、ウエスタンブーツであるが一般に知られているブーツと違い、拍車が止まりやすい、履き心地の良いクレープソールが主流。ブリティシュのように編み上げブーツは落馬時に鐙に絡まったとき脱げないため、危険であることからあまり見られず、ルーズなものが主流。
B:競技でなくても、キュロット、乗馬ブーツ、キュロット、ヘルメットは必須、プロテクターも。鞭も長鞭、短鞭。上着もクラブによって長袖。日本のブリティシュは明治時代の陸軍を基本としています。型から入ります。
拍車は、皆さんが許されるものは、ほぼ短めの棒状の形をしています。(本来は輪拍もあります)使い方は同じですが、正確に教えられていません。施設により例外もありますが。
チャップスは鐙皮の関係で、中級者まではふくらはぎを挟むので必須です。
キュロットは、軍隊のズボンを改良したもので機能的で乗りやすくなっています。
ブーツは安価なものは、ショートブーツ+チャップス、あるいはゴム製長ブーツ、高級なものは革製ロングブーツ編み上げです。
編み上げはブーツは脱げなくて危険なのですが、鐙が比較的細く外れやすいので使用されています。落馬の危険回避のため鐙自身が外れるタイプもあり工夫されています。
最近では鐙が太く外れにくいまるでウエスタンのような鐙もあります。
馬の動かし方
W:馬の主体性を重んじますが、馬が先を予測した行動は不可とします。
騎乗者は、最低限の扶助で馬が行動するように心がけします。発進の優先順位は、騎座(手綱を含む)、舌鼓、脚(ふくらはぎ、軽打、段階的な拍車)
曲がる場合、騎座、手綱(あて手綱、開き手綱)、脚の順です。
止まる場合(ジャストストップです)、声並びに騎座、脚(騎座と一体)、手綱です。*停止中は、馬が集中力を持ったまま、リラックスした状態を良しとします。
B:人間の指示に一歩一歩着実に実行することを求めます。
騎乗者は、最低限の扶助で動かすことは同じです。
発進は、脚(ふくらはぎ、軽打、段階的な拍車に舌鼓を併用)
曲がる場合、騎座、手綱(開き手綱、押し手綱)、脚の順です。
止まる場合、通常は緩やかな停止で手綱を引くことにより止める。*馬場馬術においては前進気勢を保ちつつ停止するため、半減脚から全減脚の技術を使用します。停止中も緊張感たっぷりにします。
馬への要求
ウエスタンは、最初に人間が指示を与え、次の指示までは継続的に動くようにしていくことが基本です。駈歩であれば次の指示までキープするように求めます。
ボイスコントロールを重視して、手綱も緩めで馬に自由度を与えながら常に馬の頭を冷静に保つように動かしていきます。
ブリティシュは、一歩一歩確実にこなしていくように継続して支持を与え続けます。
馬への要求は、馬の福祉から考えるとウエスタンの方が優しいように感じます。
ウエスタンとブリティシュは、その進化課程が著しく違うため、同じ動きにもかなり差があります。
ウエスタンは、スピード、ワイルドである一方、ブリティシュは優雅で可憐です。
ウエスタンは、自由で快活です。ブリティシュは、規律正しく、正確です。
好みは人それぞれです。どちらが合うかは人間次第です。